この記事では、Interpreter Activityを応用した関係代名詞Whatの形式を理解するのと同時に運用能力を高めるためのアクティビティを紹介します。このアクティビティはで、与えられた日本語をペアの相手よりも早く英語に翻訳をすることを課すので、即興性も養われます。
具体的な流れを以下で説明していきます。
Contents
関係代名詞whatの文法説明
関係代名詞whatが初出の場合は、アクティビティを行う前に文法説明を行います。アクティビティの時間を充分の確保するために、冗長な説明は避け、簡潔に説明したいところです。
関係代名詞whatの文法説明のポイントは、
- 「~なもの、こと」という意味の名詞節を作る
- whatが作る名詞節は、文中で、文の要素(S,C,O)になる
- whatそのものは、what節の中で,文の要素(S,C,O)になる
になるでしょう。このポイントが理解できれば、リーディングやリスニングで関係代名詞whatの意味内容がわかりますし、スピーキングやライティングでも使えるようなります。
文法書では、「関係代名詞whatは先行詞を含んでおり、what=The things whichである」というような説明がされていますが、授業でこうした説明をしなくても、関係代名詞whatを理解できますし、使えるようにもなります。
パワーポイントや板書で次のように説明してみてはいかがでしょうか。
関係代名詞whatは、変に理屈をこねなくても、先ほど挙げた3つのポイントを押さえれば、簡単な文でならば、すぐに使えるようにな
アクティビティの流れ
説明を簡単に済ませたら、アクティビティに移ります。
生徒は、ペアになり、スクリーンに投影された日本語を相手に負けないように、日本語に翻訳していきます。英語に翻訳する際に、必ず関係代名詞whatを使うように指示します。ペアの2人が訳し終わった後、お互いの英文を共有するようします。時間に余裕があれば、答え合わせをするときに、指名しても良いでしょう。最後の問題だけは、日本語は与えず、写真だけを見て英文を考えるようになっています。これについても、ペアでお互いの英文を共有させます。
英語の指示の例です。
Pair up and look at the screen. I will show you Japanese sentences on the screen. You will try to translate them faster than your partner. You must use “what” in your English translation. Are you ready? Go!
5問目の指示は以下のようになります。
There is no Japanese sentence for the last question. You will guess what the picture means. In other words, you should come up with the English sentence yourself. Then, share your idea with your partner.
Sample Exercise
以下のような問題例を作ったので、参考にしていただければ嬉しいです。
Exercise
1. あんたの言っていることがわからないよ。
2. 本当に欲しいものは手に入らないな。
3. いま世界に必要なのは愛なんだ!
4. あの子が幸せになることをするんだ。
5. Guess what the picture means.
Sample Answer
それぞれの解答例は以下の通りです。この他も正解があると思いますので、生徒が異なった翻訳をしたときは柔軟に対応しましょう。
1. あんたの言っていることがわからないよ。
I don’t understand what you mean. / I don’t understand what you’re saying.
2. 本当に欲しいものは手に入らないな。
I can’t get what I really want. / It’s hard to get what I really want.
3. いま世界に必要なのは愛なんだ!
What the world needs now is love!
4. 君が幸せになることをするんだ。
I’ll do what makes you happy. / I’ve decided to do what makes you happy.
5. [Guess what the picture means.]
I’m going on a diet. I can’t eat what I want.
I like doughnuts, but I can’t eat what I want now.
Don’t eat what you love.
日本語文を考えるときのポイント
ご自分で日本語文を作る場合には、以下の点を意識すると良いでしょう。
1.どの部分でwhatを使うのかわかりやすい
2.生徒が知っている単語や文法を含む英文が答えになる
3.英文の直訳ではなく、意味内容を伝える自然な日本語
4.生徒が面白いと思えるような文
1と2に関しては、関係代名詞whatに集中させたいので、他の言語形式には認知資源を使わせてたくないという理由です。また、この活動では、即興性も要求されているので、関係代名詞what以外の言語形式はアウトプットがしやすいものが良いです。
3については、少しでも自己表現力の向上につなげるためです。例えば、「私はあなたの言っていることが理解できません」と直訳的な日本語の英訳をしていると、言語形式ばかりに注目してしまって、意味内容にまで意識が向かいないことがあります。しかし、「あんたの言っていることがわからないよ」とすることで、意味内容にも注意が向き、自己表現に近い活動になります。
4については、生徒が積極的に取り組むための工夫です。真面目で面白味のない文を扱うと盛り上がらないこともありますよね。また、3と重なるのですが、英語で表現してみたいと思わせるような文を与えることで、自己表現に近い活動になるのです。
おわりに
以上が関係代名詞whatを使うアクティビティの説明になります。この活動は、基本的に、whatを使うことに慣れる練習なので、whatの使い方以外が多少間違っていても、全て直す必要はありません。ただ、もし正確性を重視したいのであれば、上記の流れでアクティビティを行った上で、答えを書かせる方法もあります。
今回紹介した活動は、Focus on Formの第一人者である和泉伸一氏の著作を参考にさせていただきました。こちらの本はFocus on FormやCLILの考え方とそれら実際の授業に応用する方法が書かれています。英語教師なら持っておきたい一冊です。
また同一著者によるこれらの著作も授業作りの参考になります。