これから多読活動に取り組ませていこうと考えている先生や、すでに多読活動を行ってはいるけれど、うまく機能してないと感じている先生は、この記事を参考にしてください。必ず生徒が多読活動に取り組むようになります。
多読の目標を設定する
いくら多読の必要性を説いても、生徒が自主的多読に取り組むことは稀でしょう。英語の読書が大好きだったり、学習意欲が高いと、自然と多読が進んでいくのでしょうけれど、そういう生徒はなかなかいませんよね。
したがって、多読を学習計画の中に組み込んで、成績に加えるようにするべきでしょう。年度初めに(年度途中でも可能かもしれません)、多読の必要性を説明し、年間計画を示します。
まずは、1年間に最低限読むべき目標語数を示しましょう。たくさん読みなさいというだけでは、ゴールが見えず、基準もわからないので、多読が進まなくなってしまうかもしれません。ゴールが見えないものは、取り組みにくいものです。どの程度読めば良いのかがわかると、目標語数に届くように、
一生懸命多読に取り組むようになります。
年間の目標語数は、月ごとなどに分けて示してあげると、より取り組みやすくなります。1年間に、1万5千語読むことを目標にすると、以下のような割り振りもできます。
語数 | |
5月 | 500語以上 |
6月 | 1,500 語以上 |
7月 | 2,500 語以上 |
8月 | 4,000 語以上 |
9月 | 5,000語以上 |
10月 | 6,000語以上 |
11月 | 8,000 語以上 |
12月 | 11,000 語以上 |
1月 | 13,000 語以上 |
2月 | 15,000 語以上 |
夏休みと冬休みに少し多目に読むように設定してありますが、もう少し増やして年間の語数を増やすなどのアレンジもできます。
Book Report
Book Reportには、読んだ本の語数やタイトル、要約、気に入った表現等を記入させます。Book Reportのいちばんの目的は、読んだ語数の記録です。どれだけ読んだかを記録することで、進捗状況がわかり、ゴールまでの距離が認識でき、モチベーションを維持できます。これはある意味で、ダイエットと似ています。ダイエット成功の秘訣は、毎食何キロカロリー食べたのかを記録することと言われていますからね。
このBOOK Reportは定期的に提出させて確認できるとよいです。後述するように、成績に加えるためにBook Reportを評価するという目的もありますが、定期的にチェックすると、生徒もサボりにくくなります。
BOOK Reportは、紙媒体でも良いですしGoogle Classroom、ロイロノート、Microsoft Teamsなどを離床している場合は、こうしたICTツールを通して提出させる方法もあるでしょう。
多読時間の確保
生徒が多読の効果を実感し、習慣化させるために、授業内で多読の時間を確保していきたいですね。生徒は他教科の勉強や部活などもあり、忙しい毎日を送っているので、多読の時間を確保するのが難しいかもしれません。また、導入の段階では、英語の読書ということにハードルを感じで、なかなか取り組めないということも考えられます。ですので、全員一斉に多読をする時間を作れるのが理想です。
多くの多読の指南書では、授業内で多読の時間を確保することを勧めており、毎週多読の時間を1時間設けると取り組みもあるようです。また、個人で多読を進めていくだけのクラスを設置している例もあります。けれども、授業の進度を考慮すると毎週1時間を多読に充てるのは、あまり現実的ではありませんよね。
ただ、多読を習慣化させるために、授業時間にも読ませるのは大事だとは思うので、なるべく機会を作るようにしています。まず多読を導入する際にガイダンスをしますが、1時間全ては必要ないので、残りの時間は、実際に多読する時間にしてしまいます。
そして「授業の隙間時間」も有効に使います。例えば、計画通り進めても授業時間が中途半端に余ってしまうこともあると思いますが、そういうときには残り時間で多読をさせます。パフォーマンステストを実施するときは、テストの形式によっては、生徒が教室で待っている時間がありますよね。その時間に多読をさせるのです。また、授業を自習にしなければならないときがありますが、自習課題として多読をさせることもあります。これには自習課題の準備をしなくてよいというメリットもあります。
朝勉強や朝読書の時間を設けている学校もあると思いますので、週に1回でも多読の時間として割り当ててもらうという方法も考えられますね。
授業内プレゼン
多読で読んだ(読んでいる)本をクラス内でプレゼンさせる活動を定期的に行うと、生徒が多読を継続できるだけでなく、アウトプット活動にもつながります。3~4人のグループを作り、1人ひとり本の紹介をさせ、質疑応答もできたら良いですね。ウォームアップ活動の1つとして時々入れてみましょう。多読のプレゼンをそのままパフォーマンステストにすることもできます。また、ポスターを作らせて、教室に掲示するという活動も考えられます。
多読を評価に加える
多読を課題として取り組ませるのなら、当然評価の材料として扱うべきですし、評価することは、生徒のモチベーションにもなります。3観点のうちの「主体的に学習に取り組む態度」に入れると一番しっくりすると思います。この観点を評価方法に頭を悩ませている先生がたくさんいますが、Book Reportを提出させて、定められた目標語数に対してどれだけ多く読んだかどうかや要約の内容などを評価することができます。
また、すでに述べたように、多読のプレゼンをパフォーマンステストとして行ったり、ポスターなどを評価材料することもできます。この場合は、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」を評価することになります。
多読の本の配置場所
本の保管場所は意外と重要です。生徒の目につかなかったり、遠い場所にあると本を借りない生徒もたくさんいます。理想なのは、各教室に学級文庫のように置いておき、自由に借りられるようにしておくことです。それだけの数を準備するのが、予算的に難しい場合は、生徒が普段から通る場所におき、借りやすくしておくといいと思います。
おわりに
以上が多読活動を成功させるコツになります。このようにシステム化をしていけば、生徒に多読を取り組ませるのは難しくないと思います。多読は英語のた力を高めるために必須ですので、生徒にはどんどん多読に取り組んでもらいたいですね。