英語のスピーキング指導で大切なのは、文法や語彙の知識だけでなく、実際の会話で使われる「話し言葉の特徴」に慣れることです。多くの学習者はリーディングやライティングには強くても、いざ会話になると「教科書的な英語」から抜け出せないことがあります。ここでは、授業でどのように話し言葉の特徴を扱えば、生徒のスピーキング力を伸ばせるのかを考えてみたいと思います。
Contents
会話例を多く提示して「生の英語」に触れさせる
まず重要なのは、生徒が自然な英語の会話例を数多く目にすることです。教科書に載っているダイアログだけでは会話の多様性をカバーしきれません。授業では動画やドラマのセリフ、簡単なインタビュー音声などを取り入れると効果的です。
会話を「読む」「聞く」機会を増やすことで、生徒はリーディングでは学べないスピーキング特有のリズムや言い回しに触れることができます。
話し言葉の特徴に「気づかせる」活動を取り入れる
ただ聞き流すだけでは十分ではありません。教師が意識的に、生徒に話し言葉の特徴を指摘し、気づきを促すことが大切です。
例えば:
- 短い相づち(backchannelling)
- “uh-huh”, “yeah”, “right”
- 質問タグ(question tags)
- “It’s hot today, isn’t it?”
- 省略や言い換え
- “gonna” (going to), “wanna” (want to)
こうした特徴を意識すると、「なるほど、英語の会話ってこういう感じで進むんだ」と理解が深まります。
レジスター(register)の違いを教える
次に重要なのがレジスターです。レジスターとは「場面や相手に応じた言葉づかいの違い」を指します。
- フォーマルな場面
“Good morning. How are you today?” - インフォーマルな場面
“Hey, what’s up?”
言葉そのものが間違っていなくても、場面に合わない言い方をすると違和感を与えてしまいます。授業で「同じ意味でもフォーマルとインフォーマルで言い方が違う」ことを見せると、生徒は英語を「使い分ける力」を身につけやすくなります。
ペアワークやロールプレイで実際に使わせる
最終段階として、生徒が自分の会話で特徴を使えるように練習することが必要です。ペアワークやロールプレイで場面を設定し、表現を切り替える練習をさせましょう。
例:
- 先生に遅刻を伝える → “Sorry, I’m late.”(フォーマル)
- 友達に遅刻を伝える → “My bad!”(インフォーマル)
こうした対比練習は、英語のスピーキング力を高めるうえでとても効果的です。
まとめ:教科書英語から「使える英語」へ
英語の話し言葉の特徴を授業に取り入れることで、生徒は「教科書で学んだ英語」から「実際に使える英語」へとステップアップできます。最初は短いフレーズで構いません。大切なのは、生徒が「こういうときはこう言えるんだ」と気づき、自分の英語に取り入れていく経験を積むことです。その積み重ねが、やがて本当の意味でのスピーキング力を支える基盤となります。