言語活動

文法問題をコミュニケーション活動に変える簡単な方法

今回紹介するのは、章末の文法問題をコミュニケーション活動にする方法です。準備が全く必要なく、コストパフォーマンスが優れています。

使用してる英語の教科書は、各レッスンごとの文法項目がまとめてあり、続けて練習問題が載せてあるという順番になっているのではないでしょうか。

英語の科目名が「リーディング」から「コミュニケーション英語」になり、さらに「英語コミュニケーション」となっても、どういうわけか、本文の後に文法問題が続くという構成は不変ですね。

問題文のロールプレイ

コミュニケーションの土台としての文法という考えに基づいているためだと思いますが、最近の文法問題は、会話文を扱っているものが増えているようです。また、決まった解答があるのではなく、文法の知識を確認しつつ、自分の考えを述べさせる問題も扱われています。

そうした面白い問題が多く扱われているのに、新出文法の説明をして、練習問題を解かせて終わりというのは、もったいない。少し指示を出すだけで、単調にになりがちな文法問題の演習をコミュニカティブにできます。

Example1

仮定法の文法問題として次のような問題が扱われていたとします。

Your friend: I am planning to go on a trip during this summer vacation but

       I haven’t decided where to go yet. Do you have any ideas? 

    You:If I were you,(     ), because (        ).         

Your friend: That’s a nice idea! 

(     )内に仮定法を使って自分の考えとその理由を答えることになっています。ただ答えを書かせ、指名して、答えを言わせて終わりにするだけでは、退屈な授業になってしまいます。

この会話の続きを即興で行わせることで、スピーキング力を養う活動にしてしまうのです。

まず、ペアを作り、じゃんけんをし、役割を決めます。そして、問題の会話を読み、”That’s a nice idea!”の後に続けて、ロールプレイを始めさせるのです。(    )に入れる答えは、パートナーに事前に伝えず、活動の中で初めて伝えるようにします。

生徒が問題に取り組んだ後に、次のように指示を出せば良いでしょう。

英語の指示:Now, you will roleplay this conversation. You have to keep roleplaying after the last line, “That’s a nice idea!” You have one minute for the roleplay.

設定時間を決めるときは、問題文を読むのにかかる時間を考慮しましょう。つまり、ロールプレイをさせたい時間から、問題文を読む時間を差し引いて考えるのです。例えば、この問題文は、読むだけでも20秒程度かかるので、設定時間を1分にした場合は、ロールプレイの時間は40秒程度になります。

上記の問題でロールプレイをさせたら、次のような会話が行われることが予想されます。

Your friend: I am planning to go on a trip during this summer vacation but

       I haven’t decided where to go yet. Do you have any ideas? 

    You:If I were you,( I woud go to Hokkaido ), because ( I want to visit a

      a cool area).         

Your friend: That’s a nice idea! Where do you want to visit there?

    You : Sapporo. There are many famous places to see in the city.

Your friend: I see. What do you want to eat there?

You : [ … ]

Example2

自分の考えを答えるのではなく、純粋に文法知識を問う設問でも同じようにコミュニケーション活動にすることができます。

A: Did you see the final game of baseball last night? 

B: No. The game (       ) when I turned on the TV. [already finish]  

この問題は、文法を理解していれば解ける問題ですが、この後の会話をロールプレイさせることで、コミュニケーション活動に変えることができます。

この問題で、ロールプレイをさせた場合、次のような展開が期待されます。

A: Did you see the final game of baseball last night? 

B: No. The game ( had already finished ) when I turned on the TV.

A: What were you doing?

B: I was studying English so I missed it. Did you watch it?

A: Yes. It was the most exciting game I’ve ever seen.

B: […いつこの活動を使うか

問題演習の中に取り入れる

問題を解き、説明を聞くことを繰り返すのでは、授業が単調になってしまいますね。そこで、ロールプレイを1回でも行うと、授業にメリハリができます。

授業の目的が文法指導ならば、あまりロールプレイ入れ過ぎると時間が足りなくなってしまいまうので、ロールプレイを行う問題を絞っておきましょう。また、スピーキング指導がメインではないので、基本的には、ペアを変えて繰り返し練習させる必要はないでしょう。

Warm-up活動として行う

Warm-upとして、文法問題を使ったロールプレイを行っても良いでしょう。その場合は、1問だけ文法問題を解いてから、ロールプレイに移るパターンになります。文法の復習とコミュニケーション活動を同時に行うことになります。

この場合は、たくさん話させることが目的になるので、1度で終わらせず、ペアを変えて反復させましょう。

注意点

普段の授業でコミュニケーション活動を行えていないと、文法問題を利用したロールプレイに生徒が自然に取り組むことはありません。いつも訳読や文法説明の授業なのに、急にロールプレイをやると言われても生徒は困惑するでしょう。

そういった意味で、この活動は、授業で扱うには難易度が高いと感じるかもしれませんが、コミュニケーション活動を普段から行っている先生にとっては、冒頭で述べたように、コストパフォーマンスが高い活動だと言えます。

なお、コミュニケーション活動基本的な進め方は、こちらをご覧ください。

コミュニケーション活動を成功させるコツ(基本編)

スピーキング活動のOutline

ちなみに、文法指導をどのように行うべきか、そもそも授業で扱うべきかについて様々な議論がありますが、私見では、普段の授業をコミュニカティブに行うにしても、各レッスンの文法事項は扱うべきだと思います。また、文法の説明は、日本語で行った方が効果的でしょう。ただし、文法事項の習熟度を高めるための活動を行うべきたと考えています。

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